頭の中

 

デートをした。

家に着いたのは18時半だった。

 

恋人って何だろう。

少し前に、LINEで彼に言われた。彼女ってことで良い?と。

 

わからないし、困ったし、今度会ったら話そうということになった。

 

しかし結局、話さなかった。

話そうと思ったが、言い出す勇気がなかった。

 

私は恋人だとは思っていなかった。

そもそも誰かの恋人なりうるような人間ではないと思っている。

卑屈で、自分が大好きな自分を好きになれない。

 

彼と2人っきりの時も、もう会えなくなった人と最後に会った時を何度も思い出した。

 

あの時のあの部屋を鮮明に思い出す。何もない部屋だったけど、私の行動とその空気には私の全てが詰まっていた。

あの変な部屋は私が確実に過ごした時間を切り取った。

性別を当てにして、醜く、情けなく、惨めな時間だった。

 

私の人生に起きたことを、それを全く知らない人と会っている間に、何度も思い出していた。

 

それはまた、私が性別に寄りかかっていたからかもしれない。女性というだけで愛でてもらえる、求めてもらえるという考えに懲りずにいたから。

 

しかし結局、今求められていても別の時間を頭に巡らせていた。

 

性別に意味はない。頼りにするものではない。当てにして求めてもらおうという考えは、私の性格では全く役に立たない。

気付いていたはずなのに、あの人の前では、私は女である事の他に何も太刀打ちできるものがないと感じてしまった。

浅はかだった。

 

また同じ考えに行きつく。自分を良くしなければ、何もうまくいかない。

 

胃が痛い。

ガスター10を飲んで寝る1日半。

私はいつか、まともに器用に、自分と誰かを受け入れる日が来るのか。今のところ自信はない。