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薬を待ってる時、床のカーペットをずっと見ていて、
ピアノ教室の部屋の絨毯を思い出した。
マーブル模様で、何か具体的な柄はなくて、でもずっと見てると何かに見えて来る気がして
姉がレッスン中にぼんやり見ていた。
小学校1年から無理矢理習うことになったピアノは、あまり好きになれなかった。3年生からは姉の伴奏で歌を歌ったんだけど、それの方がよっぽど楽しかった。
私は歌を習えることは知らなかったから、発表会の時だけの特別なことだと思っていたけど、前に母に、だったらコーラス習えばよかったじゃんと言われて酷く傷ついたことがある。
絨毯を見ていると、なんでもない柄が象に見えたり家に見えたりした。
黒鍵を使う、シャープとフラットが初めて楽譜に出てきた時、間違えてばかりで、同じところを何度と弾かされて辛かった。
ようやく姉のレッスンの時間になったからホッとしていたら、帰り際にもう一度復習と言って、さっき出来なかったところをまた弾かされた。また出来なくて、泣きながら先生の声を聞いて、弾けなくなって、帰った。
病院のカーペットを見ていたらそんなことが1秒しないくらいで頭の中をバーっと掻き乱して行って、涙が出てきた。
ティッシュで目を拭いたら紫のマスカラがたくさん付いていた。