冷房にやられてしまった

 

少しずつ気持ち悪くなって、息を吸う回数が増えていった。トイレで下を向くと胃から空気がこみ上げる。マスクが苦しい。暑くなったり寒くなったりする。

 

満月の日、部屋から夜空を見渡しても見れなかった。月は、ふと空を見上げると、やっとこっちを見たなと言っているように思う。こちらに余裕があって初めて気づくような気がする。

 

実際は私の生活とは全くの無関係で、

規則正しく、ルールに則り

雲に見え隠れしてただ浮かんでみえるのだ。

 

大きい周期で、しかしそれは地球とは少しずつ微妙にズレていく。私が生きている間には認識できないようなほんのちょっとのズレ。

 

自分が生きていることを不思議に思う。

母はなぜ産むと決めたのだろう。

今の私には到底理解できずにいる。

 

いつからか、妊婦さんのお腹を気持ち悪いと思うようになってしまった。

太った体や、黒く日に焼けた肌や首のシワを、

酔っ払って赤くなった顔を、

直視したくないと思うようになってしまった。

 

じぶんの嫌いなものや苦手なものがどんどん明確になってくるのが怖い。

これから減るかもしれないし、増えるかもしれない。しかしそれは、どうしようもない。

 

月のように、毎日の繰り返しに余裕を持ち

自分にしかわからないようなズレや

自分のためだけの時間をこっそり過ごし

それを誰かに少しでいいから知ってもらいたいと思った。